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品質を守る、現場を守る。

KEISUKE MIYASHITA

常務取締役 宮下 佳祐

「妻を助けたい」が始まり

豆腐屋・宮竹家の“三男”と呼ばれています。でも実際は苗字が違うことからもわかる通り、宮竹家の長女の夫として豆腐屋に入ったので、厳密にいうなら“義理の三男”ということになります。結婚当初は印刷会社に勤めていました。ところが当時から家業を手伝っていた妻が「忙しい、人手が足りない」と困っていたので、結婚早々自分も豆腐屋の一員になることにしました。今でこそ美川タンパクは親父さんを筆頭に信念をもって豆腐をつくる会社だとわかっていますが、自分は最初からその信念を深く理解していたわけではなく、入社は単純に妻を助けるためと思ってのことでした。もちろん、家族と仕事をするというのはうまくいかなくても辞められないので、不安はあったし覚悟も必要でした。結果的に今は工程の様々な箇所の仕事を覚え、日々楽しく働いています。ちなみに好きな工程は木綿豆腐を切るところ。シュッシュッと正確かつスピーディに切るのが楽しいです。

敢えて持ち場をつくらない

美川タンパクでは、豆腐、納豆、油揚げ、がんもなど多数の商品をそれぞれ相当な量生産しています。決して規模が小さくない割には、あまり機械化されていないのがうちの工場の特徴で、たくさんの人が働きに来ては手作業でかなりの部分を進めています。そんな工場の中で、自分は特に持ち場が決まっているわけではありません。毎日午前2時ごろ出社し、まずは油揚げ工程の最初のほうに入り、油揚げ担当者が出社してきたらバトンタッチして自分は木綿豆腐に移り、木綿豆腐の担当者が出社してきたらまたほかのところに移り……を繰り返しています。トラブルが起きればそこに対応し、休みの人がいればその人の仕事を代わります。こうして全体を回ることから、専務(上の兄)からは「工場長みたいな役割」と言ってもらえますが、世の中の工場長のように「管理している」という意識はまったくありません。自分の目で現場を見て、柔軟に役割を変え、粛々と全体が回るようにしています。

品質の原点にある「家族」

工場で食品をつくっていても、製品をすべて試食するわけではありません。でも良いものができたかどうかは、実は食べなくても見た目である程度わかります。形がよく、厚さも正しいということは、味も一定に綺麗に出ていると推測できるのです。逆に、同じつくりかたをしても最後で形が崩れてしまうものは、つくる過程で何か問題が起きているということ。今後、機械化が進み、昔ながらの手仕事が減っていく可能性もなくはないですが、こうした「目利き」することの大切さはずっと変わらないと思っています。昔、社長が話していたのが「食品は良いものをつくらないといけない。安全安心はもちろん、小さい子どもや自分の家族に与えられるもの」という言葉。家族への愛と誠実さが品質の原点、その延長に豆腐屋の仕事があるということなのです。それを思えば、「妻を助けよう」という動機で自分が豆腐屋になったのも、あながち筋は悪くなかったのかもしれません。